掲載小説 作品一覧


作品①『ゴリポンとボクと、基地の街で』

 

2011年作成

原稿用紙100枚の中篇です

文芸誌に投稿して没(^^; 

同人誌「火山群」54号に掲載(平成28年)

 

1970年代 米軍基地のある西日本の街を舞台にした

喧嘩最強だが純粋なスポーツ少年のゴリポンと、

虚弱体質のくせに悪賢い少年ボクの

出会いと別れの物語

 

冒頭部分です ↓

 

 

「ゴリポンと呼ばれていた木村宗八くんはボクの憧れだった。

 

小学生のくせに身体が大きくゴリラみたいだけど運動神経抜群で少年野球はピッチャーで4番の大スターにして喧嘩最強。その強さは同級生の中では圧倒的で、ボクはずっとゴリポンになりたいと思っていた。というのもボクは生まれつき虚弱な体質で幼い頃から何度も喘息で入退院を繰り返しており、喧嘩など強い弱い以前の問題でボクと喧嘩をして勝ったからといって何の自慢にもならないと思われるような存在だったからだ。」


作品③ 『はるのうた』前編 

 

原稿用紙153枚

2013年脱稿

 

某文芸誌に投稿しましたが見事に没(^^;

地元岩国にまつわる話なので同人誌 火山群55号に

掲載(平成29年)してもらいました

後編は 火山群56号に載る予定です

56号が出ましたら こちらにも掲載します

 

1980年代初頭。山口県は山口市、岩国市を舞台に、

就職、恋愛に悩む大学生と、その友人達の青春群像を

描いた作品です。

 活気があった頃の岩国の街が出てきます。岩国出身の

方にはぜひ、ご一読頂きたい。

 

冒頭部分です ↓

 

「山口県の教員採用試験を受けるため一晩下宿に泊めてくれと友人の所(という名前)に電話をしたのはちょうど一月前。岩国にある出身高校で教育実習を終えて京都に戻ってきた次の日だった。

 まだ梅雨も明けきらずそぼ降る雨の夜、銭湯の帰りに雨傘を差しながら京都は右京区太秦馬塚町バス停そばの公衆電話から電話した。

中略

 電話に出た所は即答せず一瞬唸った。は?あかんのか、嘘やろと質すといやと短く答え、再び絶句し、寝るだけやしな、かめへんやろがと言うと、おお、おおと二回繰り返し、おお、ええでと三回目にやっと了承した。

 公衆電話とはいえボックスではなく、一本足の四角い郵便ポストのようなやつで、雨よけはなく、傘を持つ手に石鹸箱やらひげ剃りやらを入れた洗面器を預けた格好でもう一方の手で受話器を持っていたから、雨は容赦なく垂れTシャツだの短パンだのを濡らし、その方が気になって仕方なかったので、その時は所のぎこちない対応もさして気にならなかったのだが、思い返してみればその時、ちょっと妙ではあったのだ。」

 

 


作品⑤

「はるのうた」後編

 原稿用紙100枚

 

五年前に前編を掲載して、ずっと放置しておりました(汗 今回やっと後編を掲載し終え、完結いたしました。

 

 1980年代初頭。山口県は山口市、岩国市を舞台に、就職、恋愛に悩む大学生と、その友人達の青春群像を描いた作品です。

 活気があった頃の岩国の街が出てきます。

21世紀の現在は、駅前の中通り商店街もシャッター通りになってしまいましたが、80年代ではまだまだ岩国市の中心でした。磯部さんという女子大生が、活気のあった頃の職人町の様子を話す場面がありますが、当時は錦帯橋周辺から駅前に繁華街が移ってしまい、段々錦見あたりがさみしくなっていった時期でもありました。

 

岩国出身の方にはぜひ、ご一読頂きたい。

 

なお、掲載した画像は手製本用の表紙用に自作したコラージュ画像です。

 

作品② 「コメットハンター」

 

2016、7 脱稿の作品

原稿用紙92枚の中篇です

文芸誌に投稿しましたが没(^^;

同人誌には発表していません

 

2010年代の片田舎が舞台

都市圏から片田舎の中学校に転校してきたボクが主人公

友人がいないが天体観測に夢中で、それさえできれば幸せだった主人公僕は、転校した先の中学校で下級生の女の子「流星ちゃん」に出会う。

ボクは彼女が全国大会で自己新記録を出したお祝いにあるものをプレゼントすることになるが、、、、、

 

冒頭部分です ↓

 

「僕がその流星を見たのは今のこの学校に転校してきて一月ほどたった頃の事でした。僕はその時、強制的に居残りをさせられていた理科室の窓辺の席で課題として出されていた英単語の書取をしぶしぶやっていたのです。担任である理科教師が僕の課題未提出があまりにひどいと英語の教師からクレームをつけられ、挙げ句僕に居残りを命じたためそんなことになったのですが、流星らしき光はチラリと右目の端っこにはいりこんできたのです。どんよりと曇った外気の中、清涼な光が窓の向こう側からこっち側にアッと言う間に通り過ぎ視界から消えたのです。即座に流星だと思いました。」
 

 

 


作品④ 『スピッツの夜』

原稿用紙27枚の短編

2014年脱稿

「火山群」53号に掲載されました(平成27年)

 

東京在住の作家たちは平気で六本木のなじみの店で とか新宿あたりのアヤシイ風俗店は とか書くが、東京に住んだことのない地方の人間にとっては六本木や新宿の地名からくる臭いも手触りもわからない。なのにそんなの知ってるのが当たり前だろ?とでも言わんばかりの表現に辟易していた。そんな思いから、じゃあ地方でそれをやったらどうなるのか、書いてやろうじゃねえかって書いた作品です。

 やたら知名が出てきますので、広島県西部に住んでいる人なら、はあはあ、なるほどね~とわかってもらえますが、土地勘のない人はさっぱりでしょうね。な訳でグーグルマップつけておきますので、それを参照しながら読んでいただければ幸いでございます。

 

冒頭部分です↓

 

「今日のコンサートって七時だったよねと妻が言うから、さあ?と答えると、もうちゃんと確認しといてよと眉をひそめ、パソコンデスクの引き出しにしまっていたらしいチケットを取り出し、やっぱり、ほら開演が7時、会場が6時半だってよ、と聞こえるように言い、こっちを見ずに、じゃ迎え、5時ね、と言った。なんだか癪だから、5時で大丈夫か?と言うと、大丈夫よ、6時半からじゃないんだから。私の職場に五時に来てもらって、そのあと大学によってあの子を拾っていけば充分間に合うでしょと妻は言った。」


作品⑥ 「気高く清く美しく」

 

原稿用紙245枚の中編です。3年前くらいに書いた作品です。京都の大学で知り合った友人達と出身校の話をしていたら、自分の母校「岩国高校」がひどく異常な事に気がつきました。無論、自分は自分の学校しか知らない訳で、どこの学校も似たり寄ったりなんだろうと思っていたのですが、全国でも飛び抜けて異様な学校なんだと感じたその感触を素材にして書いた作品です。

 ということで岩国高校がモデルになっています。

 

あらすじ

 1975年春、山間部の片田舎に住む主人公、坊太郎は同級生の友里と共に郷里を離れて米軍基地のある町の高校に進学する。その地域では一番の進学校に合格し、勇んで入学した二人だったが、入学したその学校はというと、戦後民主教育制度を戦勝国の堕落腐敗したイデオロギー、乱れきった教育観とよび、表向き新教育制度に迎合するような体裁をとりながらも旧制中学、女学校という我が国の美しき伝統的を死守したと公言する奇妙な学校だった。

 そのため入学早々別れ別れとなり音信不通となった坊太郎と友里だったが、GWで帰省した折、坊太郎が女子の間で美少年と人気で、自分のクラスの美少女の熊野千春がデートしたがっていると友里から聞く。

 

 GWあけのある日、坊太郎の下宿近くで待ち伏せていた熊野千春に、一緒に映画を見に行かないかと誘われる。しかしその映画館は米軍兵士のたまり場。そんな事情を知らない坊太郎はノコノコ映画館に出がけ、案の定米兵に絡まれるが、そこを熊野千春に助けられる。

 坊太郎が下宿に戻ると、頼むから一回熊野千春とデートしてやってくれと友里からの電話。え?じゃ今日の熊野千春は一体誰だったんだ?。

 ※後略

 



作品⑦

「快晴 青空 ひとりきり」を作品欄に掲載しました

 

2022年の夏から秋にかけて書き上げた作品です

商業誌への投稿もしておりませんし、今後投稿する予定もありません 長すぎて同人誌に掲載する訳にもいきませんのでHPでの発表ということにいたしました

 

1978年 大学受験に失敗して浪人となった主人公 山下坊太郎の予備校生活を綴った日記小説です

 

 ブログにも書いたとおり「二十歳の原点」に触発された作品です 「序章」そして「本編」とした体裁も「二十歳の原点」を真似ました 

「二十歳の原点」へのオマージュ作品です

 

登場人物も内容も「なぜさかのぼらないか」とほぼ同じです。いわゆる続編としてお読みください

 

左の写真は製本した自家製本です

表紙も私が描きました


作品⑧

「スーベニア物語」

 

2020年文藝同人誌「火山群」57号に発表した作品です

※原稿用紙70枚程度の小編です

 

 中学3年生になったばかりの主人公坊太郎。幼なじみの女子正木と2年ぶりに同じクラスになる。ところが2年の間に正木はバレー部のエース、学年の人気者となっており、坊太郎には近寄りがたい存在になっていた。

 

 家庭はアル中で入院治療中の父親の代わり、農協の選果場で働く母親が一人切り盛りをする状況。とてもじゃないが期待できないと諦めていた修学旅行の小遣いを母親は坊太郎に手渡す。

 思いがけず手にした5千円札を手にした坊太郎はあることを思いつくが、、、、。

 

※設定こそ違え、作者の体験を元に書いた作品です。実際に小遣いを使わずに戻って「あるモノ」を買ったのですが、さてその「あるモノ」とは一体なんなのでしょうか?w

 答えは作品中に出てきませんが、ヒントはちりばめてありますので考えて見てください。

 

※掲載した画像は、自作製本した本の表紙です。