散切り頭を叩いてみれば

      文明開化の音がする?

 

「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」という言葉

小学校6年生の時に社会科の教科書で初めて知ったが

 

高校生になって あの言葉に前振りがあるのを知った

それはこうだ

 

 半髪頭(ちょんまげ)をたたいてみれば,因循姑息な音がする。

 総髪頭(長髪)をたたいてみれば,王政復古の音がする。

 ざんぎり頭をたたいてみれば,文明開化の音がする。

 

私はその中でも最初の一行

 半髪頭(ちょんまげ)をたたいてみれば,因循姑息な音がする。

に興味を持った

 

江戸時代は終わり、新しい時代になったというのに、

時代の変化についていけず

江戸時代のまま丁髷を結って、刀を差し、

廃刀令が出ればけしからんと騒ぎ立て、しまいには

不平氏族を募って新政府に反乱まで起こす

そうした輩を揶揄した文章だ

 

  侍なんてのはほんとどうしようもない奴らだよなあ

 

高校生の私はそう思った

当時、私たちを支配していた教師たちとダブったというのもある

当時、年寄り教師は私たちに、坊主頭や制帽制服着用を強制した

休日に私服で外出していたことを理由に呼び出し、

   貴様、母校への敬意が持てないようなら退学しろ

と恫喝した教師さえいた

 

まさに

古い習慣ややり方にとらわれて改めようとしない因循姑息な指導だと思った。

自分は間違ってもそうはならない 

時代の変化に敏感に反応して、常に時代の最先端を行くのだ

なんて思ったりもした

そういう生き方が理想的だと思っていた

 

しかし

自分が老人になって、果たしてそうなんだろうかと思うようになった

 

幕府が倒れて新政府になった途端に武士のアイデンティティーである丁髷を切って

散切り頭にし、背広を着込んで西洋人の真似をすることがそんなに偉いのか?

 

無条件降伏をし、天皇が敗戦を宣言した途端に、民主主義万歳と叫び出し、

猿真似よろしくポップスでツイストを踊り

天皇をテンちゃんなんて呼び捨てにすることがそんなに凄いことなのか?

 

忠君愛国、一億玉砕、欲しがりません勝つまでは、なんて生徒に言わせてた教師が

進駐軍がきた途端に、これからは民主主義の時代です、戦争はいけません、

なんて正反対の事を言うことが凄いことか?

 

戦時中、勝った勝った、また勝ったと大本営発表を垂れ流し、

国民を煽って新聞を売っていたくせに

アメリカに占領された途端に、反権力のポーズを取って

左翼新聞になった朝日がそんなに凄いのか??

 

アベノミクスで日本はますます発展、世界一の経済大国の地位は盤石だなんて

ホラ吹いて銭儲けしてた評論家が、アベが殺された途端に

アベノミクス批判はおかしくないか?

 

 

 

武士であることで飯食ってきたのなら

西洋人が来ようが新政府が何を言おうが

武士の魂である丁髷を死ぬまで結い続け、片時も刀を離さず、

武士の矜持を示してほしい

それでこそ武士だ

 

戦時中、天皇陛下万歳で飯食ってたんなら、たとえ米国の植民地になっても

死ぬまで天皇陛下万歳でいてほしい

たとえ新聞が売れなくなっても、右翼新聞のくせに、にわかで左翼新聞になんかなるな

 

アベよいしょで儲けさせてもらったなら、死ぬまでアベのケツを舐めてろよ

 

お前らにはプライドがないのか?

と怒鳴りたくなる

 

 

 

時代の変化に敏感で、常に時代の最先端を行く生き方こそが

21世紀を生きる我々のあるべき姿だと思い込んで生きてきたが

大間違いだった

もし本当に「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」のなら

その文明ってのは軽薄で恥知らずで、救いようのないものなんだろうと思う

 

手のひら返しほどみっともないものはない